
RISC-Vで組込み開発:IARの無料eBookでスキルアップしよう
2010年に誕生したRISC-Vは、さまざまな組織や企業で開発が進み、2024年には、実際にRISC-Vマイコンを使用することが可能になりました。
インフィニオン、クアルコム、ノルディック・セミコンダクター、ボッシュ、NXPは、RISC-Vアーキテクチャベースの製品を加速するために共同出資する会社を設立。また、2024年3月には、ルネサス社が汎用RISC-V MCUの提供開始を発表しました。
このようなRISC-Vのトレンドは、2025年以降もますます加速することが予想されます。つまり、世界中の組込み開発者は迅速にスキルアップすることが求められるのです。
IARでは、RISC-Vの基本的な概要、技術的な詳細について解説したeBookを公開しました。本記事では、その内容の一部をご紹介いたします。
RISC-Vとは
- RISC-Vの概要: オープンソースとして提供されている命令セットアーキテクチャ(ISA:Instruction Set Architecture)の名称です。2010年に米国カリフォルニア大学バークレー校で開発が始まり、2015年には、RISC-V Foundationが設立されました。現在はRISC-V Internationalが仕様を公開しています。
RISC-Vの特徴
- オープンソースの利点: RISC-VのISAはCreative Commons Attribution 4.0 Internationalライセンスで提供されており、誰でも利用・変更が可能です。ただし、ハードウェアや設計情報が無償で提供されるわけではありません。
- モジュラ構造: RISC-Vの命令セットはモジュラ構造を採用しており、必要な命令を選択して実装できます。
技術的詳細
- 基本命令と拡張命令: RISC-Vの命令セットには基本命令と拡張命令があり、カスタム命令も追加可能です。例えば、RV32I、RV64I、RV128Iなどの基本命令セットがあります。
- レジスタ: RISC-Vは汎用レジスタ方式を採用しており、整数レジスタや浮動小数点レジスタが含まれます。整数レジスタは32本、浮動小数点レジスタは32本です。
ビジネスとエコシステム
- エコシステムの構築: RISC-Vのエコシステムには多くの企業や研究機関が参加しており、包括的なサービスが提供されています。例えば、IARのコンパイラやデバッガのサポートがあります。
- 競争力の向上: RISC-Vを採用することで、カスタム命令の追加やパイプライン構成の変更が可能となり、システムの性能や消費電力を大幅に改善できます。
将来性とグローバル考慮事項
- 将来の拡張性: RISC-Vは将来の性能改善やプラットフォームの更新に備えるための選択肢を提供します。カスタム命令の追加により、システムの性能を数倍に向上させることが可能です。
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グローバルな適応能力: 米中貿易摩擦などの国際問題に対して、オープンソースのISAであるRISC-Vは柔軟な対応が可能です。
eBookでは、以上のようなRISC-Vの特長と機能だけでなく、IAR Embedded Workbench forRISC-Vでのコンパイラやデバッガの使い方について具体的に説明しています。組込み開発者がRISC-Vの採用を検討する際に非常に参考になる内容ですので、ぜひ以下のリンクからダウンロードしてご活用ください。